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札幌高等裁判所 昭和37年(ラ)10号 決定

抗告人 金子太郎

右訴訟代理人弁護士 小林盛次

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件公正証書の文意はやや明晢を欠くきらいがないではないが、その記載の前後を通読すれば、債務者金子鉄工建設株式会社及び申立人の両者が債権者八洲産業株式会社に対して昭和二八年五月二一日までに負担した金五百二十七万円の金銭債務を公正証書作成と同時に消費貸借の目的に供し、これを元本として弁済期昭和二八年六月一五日、遅延損害金百円につき日歩金五十銭と定める旨の準消費貸借契約を締結した趣旨なることを領するに難くない。それゆえ、右は請求の目的を具体的に特定するに十分であるから、本件公正証書は民事訴訟法第五五九条第三号に定める要件を具備するものといわなければならない。さすれば、右要件を欠くことを前提とする本件異議申立は理由がなく、これを却下した原決定は相当である。

よつて、民事訴訟法四一四条、第三八四条、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人 輪湖公寬)

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